住宅地の被害の陰で ―農業用水を守った水利組合の復旧活動

6月下旬、梅雨前線と台風7号・8号の影響による大雨で、山に囲まれた市原野では各地で土石流や土砂崩れが発生しました。大量の雨水とともに流木や石が住宅地まで流れ込むなど、大きな被害がありました。

その一方で、農家にとっても深刻な被害が発生していました。市原の農業を支える「板倉用水路」が土砂で埋まり、また水路の崩落も発生し、約10日間にわたって田畑に水が届かない事態となったのです。特に、グリーンタウン北東の田畑から静原口鬼谷の取水口までの区間では、約80~100mにわたる側溝2か所が土砂で完全に埋まりました。

被害の状況:水路の埋没と崩落

【復旧活動の経過】
6月28日には、農家でつくる水利組合の役員・関係者6名が水路を点検しながら、土砂や瓦礫の撤去を開始。29日には京都市農林振興室へ復旧を要請し、翌30日に現地調査が行われました。7月1日からは業者による復旧工事が始まり、水利組合の皆さんも予定箇所以外の土砂撤去に取り組み、7月7日に復旧が完了しました。復旧費については、京都市から50%の補助を受けることとなりました。

約10日間、田畑に水がまったく届かない状況は、稲や農作物の生育に直結する農家にとってまさに死活問題でした。

復旧後:土砂撤去・蓋掛け

板倉用水路は、江戸時代初期、当時の京都所司代・板倉重矩公(1617~1673)の指揮のもと築かれた、静原川から約5㎞にわたって市原へ農業用水を運ぶ歴史ある灌漑用水路です。
現在も市原の農業を支える大切な水路として、その維持管理は水利組合によって担われています。

また、現在は台風や大雨の際には、警報が発表されると当番の水利長が危険な山道を通って水門まで赴き、手動で閉鎖しています。水利組合では、組合員の安全確保と確実な防災対策のため、水門を自動で閉鎖できる設備への改善を京都市に強く要望しています。

住宅地の被害がクローズアップされた今回の大雨災害。その陰では、農業用水を守り、田畑への水を一日も早く取り戻すため、市原水利組合の皆さんが懸命に復旧に取り組んでいました。こうした農業を支える活動も、今回の災害で市原野に起きた出来事の一つとして、記録に残しておきたいと思います。

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