市原野学区の概要

京都市左京区に位置する市原野(いちはらの)学区は、豊かな自然と深い歴史、そして落ち着いた住環境が調和した魅力的な地域です。

1. 地域の概要🏡

市原野学区は、京都市左京区の北東部、いわゆる「洛北」と呼ばれる山間部や盆地に位置しています。鞍馬街道に沿って集落や住宅地が南北に延び、その周囲を緑豊かな山々に囲まれた、のどかな田畑が残る閑静な地域です。

○地域とともに歩む学校・教育🏫

地域コミュニティの中心である京都市立市原野小学校は、1875年(明治8年)創立の伝統校です。隣接する静原、鞍馬の少子化に伴い、2022年(令和4年)には静原小学校を統合し、2025年(令和7年)4月からは鞍馬小学校を統合しました。子どもの通学エリアが広がるなど、隣接する地域とのつながりを深めながら、手厚く温かみのある教育環境が整えられています。

○地域で支える、安心・安全な暮らし🤝

地域では「市原野自治連合会」を中心に、防災活動や環境保全、子どもたちの見守り、地域行事など、住民同士が支え合いながら、安心して暮らせる地域づくりに取り組んでいます。

2. 地域の歴史🏯

市原野は、古くから京都の街(洛中)と鞍馬・貴船を結ぶ鞍馬街道の要所であり、かつては参拝客で賑わう休憩所でした。地域には小野小町ゆかりの補陀洛寺(小町寺)があり、かつて向山に「い」の字の送り火が灯されていたという伝承が残るほか、江戸時代初期には近世儒学の祖・藤原惺窩(ふじわらせいか)がこの地の静けさを愛して晩年に移り住み、「市原山荘」を構えて隠棲した地でもあります。また『古今著聞集』などの説話では、市原野に潜む鬼童丸が鞍馬参詣の途上であった源頼光を牛の皮をかぶって待ち伏せし、見破られて退治されたという有名な伝説の舞台としても知られています。

左:小町寺 右:藤原惺窩の市原山荘跡

鬼童丸伝説

○愛宕郡静市野村(おたぎぐんしずいちのむら)の大字(おおあざ)「市原」から左京区へ

かつて京都市の北部や東部を広く占めていた山城国愛宕郡(おたぎぐん)。明治22年(1889年)の町村制施行により、静原・市原・野中の3村が合併して「静市野村」が誕生しました。この時、旧市原村の流れを汲む大字「市原」となった地域が、現在の市原野周辺です。

その後、戦後の昭和24年(1949年)4月1日、静市野村を含む愛宕郡の8か村(岩倉村、八瀬村、大原村、鞍馬村、花脊村、久多村など)が一斉に京都市に編入され、左京区の一部となりました。これによって愛宕郡は消滅し、その名は現在の「京都市左京区静市市原町」などの地名へと受け継がれています。

3.交通アクセス🚃

市原野は山間部にありながら、鉄道やバスで京都市街地へアクセスしやすい地域です。地域内を通る叡山電鉄鞍馬線(京都精華大前・二軒茶屋・市原駅)からは、京阪本線へ乗り換えられる出町柳駅まで直行でき、三条・四条や大阪方面への通勤・通学に重宝されています。また、地下鉄国際会館駅や市街地を結ぶ京都バスも重要な足です。主要道路である鞍馬街道が通る一方、集落内には道幅の狭い道路もあるため、日々の生活には自家用車があるとさらに利便性が高まります。

左:叡山電鉄「市原駅」 右:「二軒茶屋駅」

左:京都バス「市原」付近 右:「市原」バス停

4. 自然環境と地域のいま🌿

市原野の最大の魅力は、豊かな自然と暮らしがすぐ近くで調和している点にあります。学区全体が美しい山林に囲まれ、住宅地のすぐそばに山や川、田畑、里山、そして古い集落が残っています。一方で、完全な農村ではなく、近年は宅地開発によって新しい住宅も増えており、「昔ながらの里山」と「新しい街並み」が心地よく共存しています。

○防災への意識🌾

「自然が豊か」という長所の裏返しとして、災害への備えも大切です。山や河川に近いため、京都市の防災情報では土砂災害や河川の増水への注意が呼びかけられています。地域内には「市原野小学校」「京都精華大学」「市原野会館」の避難所が指定されており、住む場所(自治会・町内会単位)に応じた個別の防災情報を事前に確認しておくことが重要です。

○周辺地域とのつながり📍

市原野を一言で表現するなら、「京都市内でありながら北山の里山環境が残り、古いコミュニティと新しい住民が共存する街」です。また、単独で完結するのではなく、静原や鞍馬、岩倉、上賀茂といった周辺地域と深くつながっている点も特徴です。近年では、静原・鞍馬の小学校との統合により、市原野小学校がこの北部地域における「教育の拠点」としての性格をいっそう強めています。

5.歳時記・年中行事🏮

市原野とその周辺には、自然の恵みや水への感謝、先祖を敬う心が、さまざまな伝統行事として今も受け継がれています。

代表的な行事が、毎年8月16日に行われる「市原ハモハ踊・鉄扇」です。京都市の登録無形民俗文化財にも指定されている伝統の盆踊りで、「ハモハ」は「南無阿弥陀仏」が訛ったものと伝えられています。かつては向山に「い」の字の送り火を灯した後に踊られ、先祖を送り出す大切な行事として続いてきました。後半の「鉄扇」は、楽器を使わず、音頭と手振りだけで優雅に踊るのが特徴です。

また、各集落の氏神では秋を中心に祭礼が行われます。静市市原町の厳島神社は、鞍馬川の水への信仰と深く結びつき、静市野中町の龍田神社では、風雨や農耕を守る神として湯立神事などが営まれます。

左:野中町「龍田神社」 右:市原町「厳島神社」

厳島神社 11月3日「秋の大祭」

盆踊りや祭礼は、自然への感謝と先祖を敬う心、地域の絆を今に伝える、市原野の大切な文化です。